【更新状況】 2016年5月15日 初稿・第一回実験結果掲載
豆すっとぎとは何か
google先生によれば、豆すっとぎ(豆しとぎ)とは岩手県北部から青森県八戸地方にかけての郷土菓子で、蒸かした青豆や黒豆を潰したものにひえ、あわ、米粉、場合によってはもち米粉、砂糖と僅かに塩を混ぜて固めた超シンプルスイーツだそうで。そのシンプルさ故に豆の種類や米粉、砂糖と塩の配合比率で味が大きく変わる、THEおばあちゃんの味的存在である。
豆すっとぎとの出会い

2016年のGWは車載動画コンテンツの素材撮影のために千葉から青森まで車で沿岸部を北上しており、撮影3日目の夜、岩手県は宮古市でなにかうまい地元のものはないのかと探しまわってたどり着いた地元スーパー(※1)「ファル磯鶏(そけい)店」で見つけたのが最初だった。

元々ずんだ餅が好物であり、東北方言に由来するであろう「すっとぎ」という響き気に入り購入した。尚後に判明した事であるが、「豆すっとぎ」は元の名前が更に訛った呼び方であり、メジャーな呼称は「豆しとぎ」だそうだ。いや「豆すとぎ」だろ!と言う地元の方もおり、「豆しとぎ」→「豆すとぎ」→「豆すっとぎ」と変化したものと思われる。唯でさえローカルフードなのにそのローカルの中でさらに呼称が細分化されている(※2)。本稿では出会った時の名前「豆すっとぎ」を特に断りのない場合使用する。声に出して読みたい日本語「すっとぎ!」。

※1:海外でも国内でも、遠くに来たらスーパーを覗くのが旅の楽しみ。観光スポットにはないその地域の本当の文化が絶対ある。国内地方スーパーでは特にレジ横にローカルお菓子コーナーがある確率が高く、本稿の「豆すっとぎ」もそこで見つけた。ついでに「きりさんそ」なる餅菓子もあったがやはりこちらも訛っており、よりメジャーな呼称は「きりさんしょ」だそうだ。

※2:三陸地域はリアス式海岸で地形的に集落同士の繋がりが薄く方言も細分化しているのでは?と推測したが、調べていないので不明。

むちゃくそうまいのに、あの辺にしかないらしい。しかも知名度は低い。

これが大変にうまいのである。ずんだ餅の餡だけずっと食べているような感じで、食感は芋ようかんのようになめらかだが、所々残った豆の歯ごたえも楽しめる。上記の小野寺餅店さんのものの他に、八戸の八食センターで手に入れた冷凍品なども食べてみたが、やはりこの初見の小野寺餅店製がうまい。濃い目の緑茶やコーヒーの受けに最高である。

ところで、豆すっとぎは青豆(青大豆)で作るものがメジャーであるそうだが、青豆自体は北東北以外にも広い文化圏を持つ食材である。筆者はいつもスーパーで売られている長野県産の青大豆をひたし豆にして食べているし、新潟県産も見かけることがある。なのに、豆すっとぎのようなローカルフードは今のところ聞いたことがないし、純新潟県産である夫(※8月より)も見たことがないと言っている。

この豆すっとぎ、青豆文化圏では広く受け入れられる風味であると筆者は考えている。実際、GWのお土産として持ち帰った八戸の「豆しとぎ」は夫(※8月より)の実家で好評であり、義祖母は「俺が食べたかったのはこれだァァァ!!」(※新潟県では女性も一人称が「俺」の場合がある)と急激にテンションをあげて喜んだそうだ。オーバーエイティーのおばあちゃんもようやく出会った理想の味。これは広まればずんだ餅と同等の市民権を得られるスイーツではなかろうか。

豆すっとぎの主な原料は青大豆、米粉、もち米粉である。越後で自給自足できる食材だ。無いなら作ればいいじゃない。前置きが長くなったが、本稿では豆すっとぎのレシピを開発すべく以下にその試行錯誤を記録していく。

豆すっとぎはそのまま食べても美味しいが、トースターで焼くと外はカリッと中はもっちりになって一際美味い。これは売られている豆すっとぎに餅粉が混ぜられているからなのではと考えた。ではどの程度混ぜるのが良いのか実験してみる。それに先立ち、豆すっとぎを食べた友人が餅粉100%で試作していた。

餅になったらしい。

なるほどでは試験条件から餅粉100%は除外してみよう。教えてくれてありがとうシンデレラ。

GWの帰路で立ち寄った奥入瀬の道の駅には「豆しとぎ」のレシピが貼りだされていた。曰く、乾燥青大豆50gを茹でて、潰して、米粉50gと砂糖50g、塩小さじ1を混ぜて、更に潰して、固めて完成だそうだ。1行で書ききれるシンプルレシピ。ではまず材料を揃えよう。

材料その1:青大豆(南魚沼産)・・・日常食なので揃えるまでもなく台所にあった。乾燥重量150gを一晩水に漬けてもどし、鍋で水から固めに茹で、ざるにあげて冷やしておく。

材料その2:うる粉(十和田産)と餅粉(タイ産)・・・うる粉は旅行中に購入したおみやげ。餅粉はスーパーに行ったら国産がなかったので。タイのお米も美味しいですし。

豆を茹でている間に粉を50gで計量する。左から順にA.うる粉100%、B.うる粉75%餅粉25%、C.うる粉50%餅粉50%。それぞれに砂糖50gと塩小さじ1を加えておく。どう考えても味が濃すぎるが・・・初回なのでレシピ通りの配合とする。

冷めた豆を3等分し、文明の利器を以って粗めに破砕

先ほど計量した粉と砂糖と塩を入れ更に破砕。豆の粒が適当な大きさになったらOK。どう見ても固まりそうにないけどこれで問題ない。

ミキサーから取り出しビニール手袋を使って根気よく揉み込む。この作業を奥入瀬のあたりでは「しとねる」と言うらしい。「豆しとぎ」のしとぎの語源はこれだろう。

数分間しとねていると、青大豆から水分が出てつやつやの餅状になる。加水の必要は全く無かった。

思ったよりも短時間で3種の豆すっとぎ仕込み完了。棒状に整えてラップに包み、冷蔵庫で一晩寝かせる。

翌朝、完成したまめすっとぎにナイフを入れる。上から順にA、B、C。外観はいずれも求めていた通りのものになった。 切るときの感触はほとんど変わらない。断面の様子も同一である。実食の結果、やっぱり味が濃い。次回は砂糖と塩を半量ずつで良い気がする・・・。もしかすると北東北の青大豆は乾燥収縮率が高く、実際の豆比率がもっと高い可能性もある。したがって次回からは乾燥時重量と湯で戻し後の重量を記録して制作することを検討する。食感に関しては、いずれも小野寺餅店のものとかなり近く、各条件間の差は感じられなかった。

次にトーストした結果。もう少し餅感が出ることを期待していたが、殆ど温かいだけで食感の変化はなく、各条件間でも差は感じられなかった。 ではなぜうすぎたねえシンデレラ氏が餅粉100%で作成した時は餅になってしまったのか?これはまだ推測だが、米粉比率が高く、おそらく加水を行っているからだろう。 今回、豆比率が高く加水の必要がなかったため餅化もしなかったが、粉を少し増やして少量加水することで焼いた時のモッチリ感は出せる可能性がある。

第一回実験結果まとめ

  • 餅粉とうる粉の配合は適当で良い。
  • 乾燥青大豆:米粉:砂糖=1:1:1では、食感はほぼ完璧であったが味が濃すぎる。次回製作時は砂糖を減らし、塩も小さじ1/4程度で良いと考えられる。
  • 焼いた時のモッチリ感を出したいので、次回は粉を少し増やして少量加水をする。
  • 製法はゆで豆粉砕→全材料投入→再度粉砕→しとねる→成形・冷蔵で間違いないだろう。
  • ・・・正直もう少し苦戦する予定だったのに、味の濃さ以外は殆ど完成してしまった。次回は今回作った3種を消費次第、砂糖比率の異なる条件で試験予定である。

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